問10.障害者向きトイレの設備について、あなたにとって使い勝手の優先順位は何ですか?それぞれどうなっていたらいいかを記入してください。

*問10は、優先順位1位×5点、2位×4点、3位×3点、4位×2点、5位×1点で計算。合計点により算出

1位は「トイレ内の広さ」であった。「どうなっていればよいか」をみると、「車いすで回転できる広さ」「介助者と一緒に入れる広さ」「着替えたりおむつをかえるスペースがほしい」という記述が多い。

2位は「扉の種類」となった。ほとんどの人が「自動」「軽い」「引き戸」を望んでいる。

3位は「手すりの高さ、位置」である。ほとんどの人が「自分の使いやすい高さと位置に」ということを記述している。「電動で高さ調節できればいい」という人も数人いた。

4位は「便器の高さ」になった。「高い方がいい」「低い方がいい」「車いすと同じ高さがいい」と、結局自分の使いやすい高さを望んでいることが分かる。「40〜45cm」という具体的な記述もあった。

5位「便器の種類」。「洋式であれば」「ウォッシュレット付き」「子供用の小便器」「背もたれがある便器」等が多くあげられている。「長細便器は座りにくい」という回答も多かった。

障害別の特徴をみる

■脳性まひ

ほぼ総合順位と一緒の結果となっているが、介助の有無別で見ると、自力と答えた人に対して介助の必要な人は、「広さ」と「便器の種類、位置」、「手すりの高さ・位置」「ベンチの有無」を多くあげている。

「広さ」については、「介助者も入れる広さ」の記述が多い。また、「便器」「手すり」の記述では、座位が不安定なため背もたれや、つかまるための手すりの記述が目立つ。「ベンチ」については、「おむつを替えたり、汚したときに着替えるための大人が寝ころべる大きさのベンチが欲しい」という主旨の記述が多い。


■筋ジストロフィー症

1位は、総合と同様に「トイレの広さ」である。これは、電動車いす使用者が多く、要介助の人も多くいるためと思われる。

注目したいのが、1位と大差なく挙げられている2位の「便器の高さ」である。介助の有無に関わらず‘低いと立ち上がるのに困難’としている。また、‘高さ調節可能なもの’、‘車いす座面と同じ高さ’を望む声もあった。

3位の「手すりの高さ、位置」でも‘調節可能なものがよい’という回答が多かった。また、ベンチの有無も他の障害と比べポイントが高い。


■リウマチ

総合順位では4位だった「便器の高さ」が1位にきている。「ひざ関節が曲がらないので高めであること」「高い方が足腰に負担がかからない」「便器の高さが操作できたらいい」「低い便器は関節がかたいので座るのに一苦労」という記述が多い。‘関節が固い’、‘ひざが曲がらない’理由から、低い便座では立ち上がること、座ることが難しいことがわかる。

2位も、総合順位では12位の「洗浄レバーの種類」が上がっていることが特徴的である。「手の届く場所に設置して欲しい」「手に力がない人でも使いやすい形状のものがいい」「力の要るもの、固いものは使いづらい」という記述が多い。

3位は「扉の種類」で、ここで初めて総合順位の高いものとの一致がみられる。「自動ドア」「軽い引き戸がよい」の記述があり、力の要る重い扉の開閉は困難であることがわかる。

4位は、全体では9位の「錠の種類」が上がっていることも特徴的だ。「握力がないので固いものは使えない」や「指先が不自由なので回すものは使えない」という記述がある。つまり、力の要るもの、指先の細かい操作するものが苦手ということがわかる。他の障害と比べて「トイレ内の広さ」が上位にないのは、杖等を使用すれば歩くことができる人が多いからである。


■脊髄損傷

6位までは総合順位と同じ結果となっている。

7位は、総合では10位の「トイレ内の明るさ」がきている。これは、「導尿をするときもあるので明るいのがいい。オレンジ色の電球ではなくて蛍光灯が見やすい」という記述や、外出の工夫で脊髄損傷の人はカテーテルを使用している人が多かったことから、導尿をする人にとって「明るさ」が重要であることがわかる。

また、今回は項目になかった「使用したカテーテルや尿袋を捨てるゴミ箱が欲しい」という導尿に関連する記述もあった。その他には、脊髄損傷の人は上肢に障害のない人が多いため、便器以外のペーパーホルダー、洗浄レバー、錠の種類を上げている人が、他の障害を持つ人に比べてごく少数であった。


■頸随損傷

1、2位は、総合順位と同じ「トイレ内の広さ」と「扉の種類」であるが、3位は「錠の種類」となっている。「ボタン式がよい」、「つまみが小さいものは使えない」、「簡単操作のもの」「ドアの開閉と連動しているもの」という記述が多いことから、上肢の障害の顕著さが現れているといえる。「照明スイッチの位置」はポイントは低いが6人が「届くところ」へとあげている。

脊髄損傷と比べ、「便器の高さ」のポイントがそれ程ではないのは、集尿袋などを使用している人もいて便座へ移乗しない人が多い為であり、便器へ近づくまでの動き安さが重要となる。便座へ移乗する人が少ないので、便座への移乗に関係する「手すり」についてもポイントが低いと考えられる。


■脳血管障害

3位までは総合順位と同じ結果となり、その他も同じ様な傾向が出ている。特徴的な記述としては、「左手麻痺のため使いやすい」「右手の人も左手の人も届く位置」があり、マヒにより左右の使い勝手が違うので、どちら側にマヒがあるかで大変使いづらいものになることがあるのが読みとれる。

目次  次へ  TOP

inserted by FC2 system