【障害別トイレ動作に必要な身体機能状況】
【トイレ動作に必要な身体機能】 | 脳性まひ | 筋ジストロフィー | リウマチ | 脊髄損傷 | 頚髄損傷 | 脳血管障害 |
<膀胱・直腸機能> ・尿意や便意が分かるか ・トイレまで我慢できるか ・排泄機能の障害はないか ・導尿など代償方法が可能か |
膀胱・直腸機能は保たれる。筋緊張の異常により排泄に時間がかかることがある。 | 膀胱・直腸機能は保たれる。 | 膀胱・直腸機能は保たれる。 | 膀胱・直腸機能の障害がある。時間を決めてトイレに行ったり、自己導尿を行っている。 | 膀胱・直腸機能の障害がある。手指の麻痺が強いため自己導尿にも工夫を要し、集尿袋を使用することもある。 | 膀胱・直腸機能は保たれるが、身体機能の障害のため移動等ができず失敗することがある。高齢者に多いため頻尿や尿失禁を起こすことがある。 |
<体幹・下肢機能> ・便座に座っていられるか ・立ち上がれるか ・立っていられるか ・バランスはどうか |
病型や障害のある部位によって大きく異なる。片麻痺の場合、脳血管障害と類似しているが、四肢麻痺の場合、介助を要する。 | 肩や股関節周囲など体の近くから筋萎縮が起こる場合が多い。下肢を突っ張るようにして立位を保持し、立ち上がりには上肢の力も利用する。 | 痛みや筋力低下、関節の可動域制限により、立ち上がりや立位保持が困難となる。特に低い便座からの立ち上がりは困難である。 | 完全麻痺の場合は車いすを使用する。不全麻痺の場合は杖歩行が可能なこともある。 | 高位頚髄損傷では四肢の麻痺だけでなく、頸部を支える筋肉や呼吸筋も麻痺し、体力的にも低下する傾向がある。座位も不安定となるため、ベッド上で排泄することもある。 | 座位保持は可能だが、立ち上がり、立位保持が困難な場合がある。便座と手すりの位置関係が麻痺の左右と逆の場合使いにくくなる。 |
<移動・移乗能力> ・トイレまで行く事ができるか ・便器に移ることができるか |
病型や障害のある部位によって大きく異なる。移動方法も歩行、車いす、電動車いすの場合と様々である。 | 進行・障害の程度により、杖歩行や車いすの場合がある。 | 進行・障害の程度により、杖歩行や車いすの場合がある。下肢の関節破壊が強度の場合、移乗に工夫を要する。 | 立ち上がり・立位保持は困難なため上肢の力のみで乗り移る。 | 便座への移動が困難な場合は、便器に移らず集尿袋の尿を便器に捨てて対応している。 | 麻痺の程度によって歩行可能な場合や車いす使用の場合があり、便座に移る時に介助をを要することがある。屋外は車いすを使用する人も多く、介助者が押して同伴する事が多い。 |
<上肢機能> ・扉の開閉はできるか ・電気などスイッチが使えるか ・トイレットペーパーが取れるか ・下着の上げ下ろしはできるか |
病型や障害のある部位によって大きく異なる。アテト−ゼ型では二次障害による頚椎症も問題となる。 | 肩周囲の筋力低下により、手を高く上げたり、腕を浮かせていることが困難となる。手指の動きは比較的良好なため、指を這わせるようにして腕を動かす。 | 手指の変形や関節の可動域制限、筋力低下が起こる。重い物を持つ等、関節に負担をかけると痛みや変形を引き起こす。 | 胸髄以下の損傷は上肢の麻痺はない。下着の上げ下ろしは座ったまま体を傾けて行っている。 | 上肢・手指の麻痺があり、損傷した場所によって動かせる筋肉が限られる。 | 片手しか使えないことが多いため、下着の上げ下ろしに介助を要することがある。 |