鏡・サニタリーボックスについて

現地調査やアンケート調査の中で、「傾斜鏡」と「サニタリーボックス」については、使いにくいとして共通の意見が多かったため、詳細を下記にまとめた。現地調査のコメントでは、スベースの関係上、触れられていない場合もあることを了承のうえで、ご参照願いたい。


■鏡について

傾斜鏡は下記の理由で不便な点が多い。

・ 立位の人が使えないだけでなく、本来使用対象となっている車いす使用者にとっても、映る範囲が限定されているため使いにくいことが多い。
・ 洗面台の大きさや高さなどによっては映る範囲まで近付くのが困難な場合がある。
・ 見上げる姿勢で使用するのは、障害によって困難な場合がある。
・ 照明との兼ね合いで、暗くて見えにくい場合がある。


平面鏡についても利用困難な場合がある。

・ 洗面台の上に設置した場合、高さによっては車いすに座った状態で映らない場合がある。
・ 車いすでの使用を考えて設置した場合、鏡のサイズが小さいと立位の人が映らない場合が
 ある。
・ 照明の明るさや鏡との位置関係によって、見えにくい場合がある。
・ 洗面台の大きさや高さなどによって、鏡に近付く事が出来ないために、遠すぎて見えにくい場合がある。

鏡の設置については

・ 立位でも車いすに座った状態でも、無理なく利用できる形のものが望ましい。
・ 立位、座位、いずれの状態でも映る大きさと位置を考えて、平面鏡を設置すると、誰にとっても、より使いやすくなる。
・ 壁面のスペースに余裕があれば、全身が映る姿見を設置すると服装のチェックなどにも利用できる。姿見の前にもスペースを確保することが必要。
・ 洗面台の上に設置する場合は、充分に近付くことが可能であるか確認することが必要。
・ 鏡を見るために充分な明るさが確保出来るよう、照明の工夫も必要。

■サニタリーボックスについて

よく設置されている三角形の蓋を取り外してするタイプのサニタリーボックスは以下の理由で不便な点が多い。

・ 蓋を取ってごみを捨て、また蓋をする、という細かい動作が、障害によって難しい場合が多い。
・ 容量が小さいので、パット類や導尿に使用した器具(使い捨ての物)を捨てるとすくにいっぱいになり、入りきらないことも多い。
・ 口が小さいので大きめのゴミを捨てるのが難しい。
・ 便器後方のすみに設置してある場合が多いため、便座に移乗しない場合に手が届かない。
 また、障害によって身体をひねることが困難な場合や、座位が安定しない場合もあるので、無理なく使用できる人は限られている。
・ 高さの低い物が多いので、手が届きにくい
・ 便いやすい位置に引き寄せることが困難。

サニタリーボックスの設置については

・ 蓋は、臭いなどの対策にも必要だが、スイング式など片手で簡単に捨てられるように配慮されたものが使いやすい。
・ 高さは便座と同じぐらいあると手が届きやすい。容量は大きめのものがよい。
・ 便座上からも便座に移らない場合も手が届きやすい位置に設置するとよい。
・ 移動や動作の妨げにならない場所に設置することが必要。
・ 動作の妨げになる場合に移動可能なように、また、使いやすい場所に引き寄せられるように、あまり重くないものが望ましい。
・ スペースに余裕がある場合や、おむつ交換用の設備、オストメイト用の設備などがある場合には、サニタリーボックスとは別に、大きめのゴミ箱を設置するとよい。ただし、移動や動作の妨げにならない場所に設置することが必要。




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