主な障害の特徴

■脳性まひ

 出生前、周産期、出生後の様々な原因により発生し、脳の発達過程における脳障害により生じた非進行性の運動機能障害の総称。運動障害は多様な障害像を呈し、手足の筋肉がかたくなり、各関節を単独に随意的に自由に動かすことができず、他動的に動かそうとすると抵抗を示す「痙直(けいちょく)型」、筋の緊張が低下して、手足がグニャグニャとしている「弛緩型」、手足等を動かそうとすると、自分の意志ではコントロールできずよけいな運動が見られ、ものを正視したり、目的の場所に手がスムーズに行かなかったりする「アテトーゼ(不随意運動)型」、動作しようとする時に手先に細かいふるえがある「振せん型」、個々の関節は動かせるが、例えば歩行など複雑な動作をしようとすると、なめらかで安定的な動きができない「失調型」がある。麻痺の部位としては、四肢麻痺、片麻痺、両麻痺などがある。それぞれの月齢で身につけられる運動パターンが獲得できず、異常なパターンが固定化し、特有の拘縮や変形をきたしやすいといった特徴がある。

■筋ジストロフィー症

 手足などを動かす筋肉組が壊れて、その力が次第に弱くなり、思うように体を動かせなくなる難病。発病が早く急速に進行していく型、ある程度成長してから病状がでて、その進行も比較的ゆっくりな型など数種の型がある。一番多いデュシャンヌ型筋ジストロフィー症は、歩き初めが遅く、転びやすいといった病状で始まり、立ち上がる時に、すぐに立ち上がれなく、膝に手をついたり物につかまらないと立ち上がれないというのが特徴。筋萎縮は、肩、腰など四肢の近位から始まり、手先、足先の遠位におよぶ。遠位(手先、足先)の機能は比較的保たれる。

■リウマチ

 原因不明の慢性関節炎を特徴とする疾患で、男女比は1:4と女性に多く、30〜50歳で発症することが多い。関節の炎症による痛みがあり、症状が進行すれば関節が固くなるなどして可動範囲が狭くなり、筋力も弱くなる。早期に発症する若年性のリウマチもある。

■脊髄損傷

 事故による骨折等、様々な原因で、脊髄内の神経が部分切断したり傷つくことによって障害が起こる。損傷脊髄レベルによって障害が起こる範囲が異なり、頸部の損傷であれば四肢麻痺、胸腰部の損傷であれば下半身麻痺となる。手足が動かなくなるという運動麻痺に加えて、さわってもわからない、痛みも感じないという知覚障害が起こる。体温の調節が難しい人も多い。神経に麻痺を起こすと排泄・排尿のコントロールが難しく、尿意を感じなくなる人や尿意を我慢できずすぐトイレに行かなければならない人もいる。排泄するときに使う筋肉が麻痺しているため、導尿など排泄の工夫をしている場合が多い。完全麻痺に対して、不全麻痺の場合には、感覚があったり、歩けたり、排尿が通常通りに行えたりすることもある。

■頸髄損傷

 頚髄を損傷することにより、呼吸筋の麻痺が起こることもある。胸腰部の損傷によって生じる障害に加え、上肢の障害が顕著であり、座位保持が難しい場合も多くある。

■脳血管障害

 脳の血管の異常により虚血または出血を起こし、脳が機能的あるいは器質的に侵された状態の総称で、一般的に「脳卒中」と言われている。「脳梗塞」「脳出血」「くも膜下出血」などの種類に分けられる。症状としては、右あるいは左の半身が麻痺をする状態の片麻痺、半身の感覚障害(しびれ)、構音障害(しゃべりにくい)、視野障害(半分が見えにくい)などが出現する。障害の程度は多様で、歩行可能な人から車いす使用の人もいる。


■□■ 排泄の工夫 ■□■

導尿法
カテーテルと呼ばれる清潔な管を、尿道から膀胱へ差し込み排尿する。障害者自身で行う場合を「自己導尿」という。

集尿器(袋)
尿道のまわりにある筋肉を削り取り、常に尿が尿道から出てくる手術をしている人が、日常生活では尿を溜めておく「集尿器」を装着している。

膀胱瘻
下腹部から膀胱に穴を開け、そこにカテーテルを差し込んだままにしておき、カテーテルの出口にビニールのパックをつけ、常に排尿し溜めておく排尿方法。

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