おわりに

 このレポートは、日常車いすを使用している障害者や、その活動の支援者が中心となって、多くの障害者の体験・意見をアンケートで調査し、公共施設の実地調査やトイレ使用実験を行い、ディスカッションを重ねてまとめたものです。
 したがって、このレポートには、障害者の日常生活体験の蓄積に根ざした、トイレの計画・設計へのヒント、提言が盛り込まれています。メンバーの女性ならではの行き届いた配慮も含まれています。
 公的な指針、条例の抽象的、理念的な規範とは違い、具体的な記述でもって、情熱のあるデザイナーの新鮮な発想を刺激するところが多いだろうと思います。

 なお、私たちのレポートの主題である「障害者向きトイレ」の呼杯について蛇足ながら申しますと、これは「多種多様な障害のある人にとって使いやすいトイレ」で、決して障害者専用を意味しているのではありません。
 これは誰にとっても使いやすいトイレですが、特に様々な障害のある人(身体的なことに限らず)が使用する際に'向いている'トイレなのです。
 従来の '専用'という意味合いの強い「車いす用」や「障害者用」よりも対象の幅を持たせたい、しかし、このようなトイレがまだ数少ないまちづくりの現状では、「多目的」にまで広げるのではなく障害のある人がいつでもどこでも安心して外出できるように、できるだけ「優先」として欲しい、という気持ちをこめた呼称として使っています。

 これからも私達は、障害者の立場からトイレにかかわる諸問題に取り組み、バリアフリーの社会づくりを目指して発信したいと思います。
 あいちの関係分野の皆様のご理解とご協力をお願い申し上げます。

 最後になりましたが、本研究会活動には名古屋市議会議員のさいとうまこと氏より研究費のご支援を頂いていますことを申し上げると共に、同氏に厚くお礼を申し上げます。



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